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・忍人と那岐がベッタリです。既にベッタベタです。
・甘いの承知で大丈夫!な方は続きからどぞ。
早朝の訓練を終え、自らの私室に一度引き上げた忍人は、ぱたぱたと回廊を走る軽やかな音に視線を出入口の扉へと向けた。
脱ぎ掛けだった上着をするりと脱ぎ捨て寝台の上へ放り、足音がちょうど部屋の前へ来た所で控え目に開く。
「忍人!」
小柄な影がほっとしたように笑った。
匿って、とそのまま忍人を押し込みながら部屋に入った影は、金の髪を雑に掻き上げ、しぃ、と指を口にあてた。
忍人が呆気にとられて声を無くしていると、直ぐにバタバタと回廊を走る音がする。
「那岐!どこ行ったのもう!」
二ノ姫?、と忍人が目を瞬かせると、目の前の影――――那岐が忍人の服の裾を引いて首を振った。
また喧嘩でもしたのか、と忍人がまた呆れたような顔をすると、那岐はそっぽを向いてしまった。しかし、掴まれたままの服に忍人は肩を竦めた。
分かった、と言うように手をぽんぽんと叩いて笑ってやる。
「もう!風早に言い付けちゃうんだからね」
ぶつぶつと言いながら部屋の前を通り過ぎていく姫に、忍人はくすくすと笑った。
何?、と那岐が顔を寄せた。
声が十分遠ざかったのを確認してから那岐の手を取って臥所の方へ引いた。
「ねぇ、忍人」
「いや、那岐の前だと二ノ姫も普通の少女なんだな、と」
「千尋?」
「俺の前だと気を張ってしまっているから…」
寝台に那岐を座らせて、忍人は肌着を無造作に脱いだ。那岐に視線を戻すと、ぶすくれて寝台に転がっていた。
「どうせ僕はしおらしくなんてならないよ」
不貞腐れている姿に思わずまた笑いが零れる。
「那岐」
手を伸ばし、金糸を一房手に取り口付ける。
「那岐?」
上向いた顔はまだぶすっとしている。
くすぐるように髪を撫でると、ほんの少し目を細めた。
「どうした?」
「…どうもしない」
本当に?、と視線だけで問うと気不味げに那岐の視線が泳ぐ。
「俺はそうやって焼き餅を焼く那岐も好きだが?」
逃げを封じる一手。
真っ赤になった那岐が、悔しそうにこちらを見た。
「僕は、こんな女々しい奴嫌いだけど?」
「そうか。なら俺の事も嫌いなのだな?こう見えてかなり女々しいからな。本当は二ノ姫や風早と一緒にいる姿を見ては、二人に嫉妬していた――と言ったらどうする?」
逃がさないように先手を打っていく。
束縛を嫌う割に、その実淋しがり屋な那岐。
不意に身体を離して寝台から立てば、途端に心細そうにする。
そのまま知らん顔で部屋の隅にある棚から新しい肌着を引っ張り出す。
「朝餉は食べたのか?食べていないなら一緒にとろう」
振り返らず、言葉だけを投げた。
すると背中にほんの少しの振動。ぎゅぅっと、前に回された腕が上半身が未だに裸だった忍人を抱き締める。
ふんわりとした柔らかい髪が肌に直接触れてくすぐったかった。
「降参」
ぼそりと呟かれた言葉に忍人はくすりと笑った。回された腕を撫でる。
「狡い。忍人は狡い。だから僕はいつも負けて恥ずかしい事になるんだ」
だから、の意味が分からない。焼き餅の次は八つ当たり。
それなのに抱き締める腕は強くて、縋るような甘えるようなその行為が愛おしくて――――
「焼き餅も好きだが、やはり素直な那岐が俺は一番好きだ」
「忍人は意外と根性曲がってるよね…。僕をおちょくって楽しい?」
またぶすくれた声を出す那岐に忍人は苦笑した。そして腕を一度解かせて、那岐の方へ振り向く。解いた腕を忍人の腰の方へ導き、自らも那岐の身体を抱き寄せた。至近距離でくすりと笑う。
「那岐の色んな顔が見てみたいんだ」
鼻先に口付けて笑えば、ぎゅっと抱き締められた。伏せられた顔をぐりぐりと胸板に押し付けられくすぐったさに苦笑が零れる。
「那岐?」
「嫌だ!根性悪!」
顎に手を掛けてみてもがんとしてこちらを見ない那岐に忍人はまた笑った。笑うな、とくぐもった声がして、済まない、と返すが、笑いを引っ込めるつもりがないので意味がない。
「那岐」
囁いた言葉に返ってきたのは、馬鹿、という言葉と優しい頭突きだった。
那岐の前で着替えをする将軍が好きです(いきなり何を…)
着替えてもお互いになんとも思わない感じが書きたかったのでこんなシチュエーションになりました。もう着替えぐらいじゃ驚かない仲(笑)
私の中の千尋のイメージが、忍人の前だと緊張しておしとやか、という感じでして、だから那岐達と一緒にいる時の元気な姿を見ると、『あぁ、やっぱり年相応の女の子なんだな』と将軍は改めて気付かされてるんじゃないかと思い、しかしそんな忍人に複雑な気分に那岐はなるんじゃないかな、と妄想の矢印がずぅっと続いてしまい、こんな結果に。
実は『僕が目の前にいるのに!』って珍しく那岐が拗ねるっていうのもやりたかったり。
実は拙宅の忍人は意外と根性悪だっていうのも書いてみたかったり。
そして裸の忍人に甘える那岐が書きたかったんです(白状)
次は忍人が嫉妬する話をやりたいなぁ。
そういえば、前に書いた忍那と締めの文が一緒でしたね…………。済みません精進します…。